出エジプト記13章

出エジプト記の話

今日は出エジプト記13章です。
ついにエジプトを脱出することになったイスラエルの民。
モーセという指導者を中心に、新しい舞台へ移動していきます。

イスラエルの民は、もともと奴隷でした。
また、430年間エジプトにいたイスラエルの民にとって、
この脱出劇は、初めてエジプト以外の地を訪れる機会になります。
未知の世界へレッツゴー!
といった気分ではないと思いますが・・・。

モーセは先ず民に向かってこのように告げます、

あなたがたは、エジプトから、
奴隷の家から出るこの日を覚えなさい。
主が強い手をもって、
あなたがたをここから導き出されるからである。
種を入れたパンを食べてはならない。
(3節)

種入れぬパンというのは、
酵母(イースト)の入っていないパンのことを指します。
この故事に倣い、過越の祭(もしくは「除酵祭」)の時には、
種入れぬパンを七日のあいだ食べなければならない。
種を入れたパンをあなたの所に置いてはならない
(7節)
ということを守ります。

今でも「除酵祭」の前になると、
大掃除をして家中のイースト菌を含んだ物を片付けます。
小麦一粒も置いておくことは許されません!
スーパーでもパンは売られなくなり、
ビールコーナーやパスタの棚などには布などが被せられて、
購入することはできません。
発酵されたビールをこの時期に飲むのはタブーなんです!

どうしてここまで「除酵」にこだわるのか?
12章にこのように記されています。

民はまだパン種を入れない練り粉を、
こばちのまま着物に包んで肩に負った。・・・
彼らはエジプトから携えて出た練り粉をもって、
種入れぬパンの菓子を焼いた。
まだパン種を入れていなかったからである。
それは彼らがエジプトから追い出されて滞ることができず、
また、何の食料をも整えていなかったからである。

あまりにも急いでエジプトを発ったので、
パン種(酵母)を入れている時間がなかったみたいです。
そのまま調理されて出来たのが種入れぬパン、
ヘブライ語では「マッツァ」と呼ばれるものでした。
イスラエルでは、これをお祭りの期間ずっと食べます。
そうやって、出エジプトした奇跡を覚え、記憶していきます。

伝承を語り伝えること、
そして追体験することは大事なんですね。

その日、あなたの子に告げて言いなさい、
『これはわたしがエジプトから出るときに、
主がわたしになされたことのためである』。
そして、これを、手につけて、しるしとし、目の間に置いて記念とし、
主の律法をあなたの口に置かなければならない。
主が強い手をもって、あなたをエジプトから導き出されるからである
。(8−9節)

神様は、自らの強い手をもってイスラエルの民を救い出したことを、
親から子へ伝えていくように命じています。
その掟は、今に至るまでしっかりと受け継がれています。
ユダヤ教徒は、朝祈る時に、額のあたりに小さな箱をくくりつけて祈ります。
その箱の中には4つの聖句が入っています。
そのうち2つはなんと、
出エジプト記13章の1−10節と11−16節の言葉が記されているんですね。

朝ごとにイスラエルの民が祈り唱える出エジプト記13章。
主の律法を口に置くというのは、
こういうことを言っているのかもしれません。

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