出エジプト記6章

出エジプト記の話

今日は出エジプト記6章です。
イスラエルの民を救うために指導者として立ち上がったモーセ。
しかしその前途は多難であり、
一筋縄ではいきませんでした。

何か新しいことを実行する時に困難はつきものですね。
心折れかけたモーセは、神様に向かって嘆きます。
そのようなモーセに対して、
神様はどのように応えたのでしょうか。

主はモーセに言われた、
「今、あなたは、
わたしがパロに何をしようとしているかを見るであろう。
すなわちパロは強い手にしいられて、
彼らを去らせるであろう。
否、彼は強い手にしいられて、
彼らを国から追い出すであろう」。
(1節)

וַיֹּאמֶר יְהוָה אֶל־מֹשֶׁה עַתָּה תִרְאֶה אֲשֶׁר אֶעֱשֶׂה לְפַרְעֹה
כִּי בְיָד חֲזָקָה יְשַׁלְּחֵם וּבְיָד חֲזָקָה יְגָרְשֵׁם מֵאַרְצוֹ

困惑するモーセに向かって神様は、
私が強い手をもってイスラエルの民を去らせ、
強い手をもって追い出させる。それをあなたは見るであろう

と予言します。
モーセには予見できないことを、
神様は強い手をもって成すと約束されています。

現状に右往左往されるな!諦めるな!
といった神様の力強い励ましですね。

同じような体験をしている人が他にもいます。
創世記15章では、アブラハムが神様の呼び声に対して
自分にはもうできない。神様の約束を見ることができない」と嘆く場面があります。
そのような魂の葛藤は、
偉大な父祖や指導者たちも通ってきているんですね。
そこで神様に立ち返る時に、
神様はその嘆きの先にある大きな世界、
ビジョンがあることをまた示してくださる。
それを信じて歩んだ!ということを言われているのかもしれません。

この箇所を読みながら、
現代の指導者だったテオドール・ヘルツェルの顔が浮かんできました。

19世紀末に「ユダヤ人国家を興したい」と声を上げたヘルツェル。
もともと彼は、伝統的なユダヤ教の生き方とは違う、
ヨーロッパの自由な文化に溶け込んで生きていくことを追い求めていました。
シオニズムとは正反対の生き方をしていた人が、突如目覚めます。

ヘルツェルがユダヤ人国家建設を夢見たことで、
彼はそれを生涯の使命と思い立ち上がりました。
しかし、最初はユダヤ人国家など馬鹿げたことだと、
同胞たちからも非難されます。
建国への道は果てしなく、とても困難な道のりでした。
結果、ヘルツェルは生きてその建国を果たすことはできませんでしたが、
そのビジョンは多くの人に希望を与え、
彼の死から44年の時を経て、
イスラエルという国は誕生しました。

イスラエル民族の嘆き呻くような叫びを神様は覚え、
強い手による働きによって誕生したのがイスラエル国家なんですね。

出エジプトの物語と、イスラエル建国の物語はどこかで通ずるものがあると思います。

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